ハァー
どうして僕はこんなにうだつが上がらないんだろう。
部屋の窓から星空を見ながら一人、今日あった出来事を思い出していた。
寝坊で学校を遅刻して先生にさんざんどやされた後、廊下に立たされ
せっかくやってきた宿題のプリントを家に忘れ、またどやされ
体育のバスケではトラベリングを連発してチームメイトにまたまたどやされ
昼ごはんのときには女子の机の近くで牛乳こぼしてまたまたまたどやされ
……
ハァー
この深い溜め息はあの星まで届きそうだ。
ネガティブ思考が僕の中で回りまわる。
何かいいことないかなぁ〜。
そんなとき夜空に光り輝く何かが瞬いた。
流れ星だ!
僕はとっさに願いを祈った。
みんなから羨望の的になるような人間に生まれ変われますように☆
できればすっごくかわいい女の子に(>_<)
願い事を言い終えたとき流れ星は消えた。
それは時間にして、ほんの数秒の出来事だった。
…しかし流れ星が見れるなんて…
今日の最後にいいことがあって気分が少しだけ晴れた気がする。
少し寒くなってきた。
今日はもう寝よう。
僕は最後にもう一度星空を見上げゆっくり窓を閉めた。


「うーーん」
朝、できればまだ寝てたいところだが昨日遅刻して今日もというの非常にまずいので
その意識があるうちに上半身を勢いよくパッと起こした。
今日遅刻したらそれこそグランド十週とでも言われそうだ。
僕は目をこすり、独り言を呟きながらベットから降りる。
……あれ?
何かいつもと何かが違う気がする。
何かが……
「………」
ああ、この違和感は机にパソコンがないからか。
あれ?マンガ本がぎっしり並んだ本棚もないぞー
あれれ?何か部屋の模様がまったく……
………
「こっ、こっ、こっ、ここはどこだーーーーー!!!!!」
重大な異変に気づき思わず声を上げた。
ここは僕の部屋何かじゃない!
僕の部屋もっとこう、マンガやゲームがその辺りに転がっていて
なかなか足の踏み場がなくて、壁にはアニメのカレンダーが貼ってあって…
なのに今いるこの部屋はその類いのものは何一つなく、すっごく片付いていて…
むしろ言ってみれば女の子のような部屋で…
な、な、な、何だーーー。
僕は昨日何を…
パニックになっているこの状況下でたった数時間前のことがなかなか思い出せない。
……いや、昨日は確かに自分の部屋で寝たはずだ!
そう、窓から星を眺めて考え込んで、流れ星に願い事をして、
その後すぐに寝たはずだ!!
なのに、なんで僕はこんなところにいるんだ??
ていうか、ここどこ???
まさかこれって夢遊病ってやつ?
コツコツコツ
ギクッ
誰かが階段を上がってくる。
僕は一瞬固まった。
コツコツコツ
その足音は徐々に近づき…
部屋の前で止まる…
まだ僕は何の行動にも移れない。ただただ固まっている。
コンコン
「早苗!起きてるの?開けるわよ」
ま、ま、まずい!!!
どうしよう(((( ;゚д゚)))アワワワワ
必死に隠れられるところを探そうとこの時やっと思い立ったが…もう遅い。
見ず知らずの人が家の中に勝手に上がりこんでるなんて…
不法侵入、泥棒、痴漢、変態、逮捕……
ぎゃーーーーーー!!!!!
カチャ
扉が開かれた。
「ご、ごめんなさい!!僕は決して怪しい者ではありません!!!
その、信じていただけないかもしれませんが目が覚めたらいつの間にかここに……」
僕はこの家の人が部屋に入るなり頭を深々と下げて誤った。
自分でもこの状況が理解できないのに…
でもここはとりあえず謝るしかない。
「……何寝ぼけてるの?早く顔洗ってらっしゃい!もう朝ごはんできてるから」
「へ?」
…それだけ???
僕を見てもまったく動じず、素っ気無い言葉を言い放つ。
あっけにとられてポカーンとしている僕にもう一言。
「聞いてるの?早苗?早く降りてらっしゃいよ」
そう言ってこの家の母親らしき人は部屋を後にした。
早苗?どう聞いても女の名前だよな??
僕は男だぞ!いったいどんな間違えだ???
それを確認するために近くにあった三面鏡に自分の顔を映した。
………
「なっ、なっ、なっ、何だこりゃーーーー!!!!」
今日、既に何回目の絶叫なのか…
そ、そんなはずはない!!
だって鏡に映っているのは僕じゃなくて………女の子……
髪の毛は背中まであって
すごく華奢な体で、腕も足もお腹周りも全部細くて
胸にはふんわり膨らみが……
は、はははっ、何の冗談だ、これは?
一晩で女になったとでも?
は、ははっ
今置かれている状況をまったく理解できず、僕はもう笑うしかなかった。
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