「えっと、和也君だよね。改めまして、藤森詩織といいます。これからよろしくね」
部屋に入り、ドアを閉めると密室空間の出来上がり。二人きりの……
「?、どうしたの?」
「あ、いえ、よ、よろしくお願いします」
いかん!変なことを考えてはダメだ!!
僕はこれから勉強をするんだ!
そのために来てもらったんだ!そんなことをするためではない!!
一人で暴走し始めていた僕は、その身を引き締めた。
「さてと、どこでやったらいいんだろう?」
やる?!や、やるって、何を??
………
………バカか僕は。勉強に決まっている。
「えっと、そこで」
僕は床に置いてあるちょうど二人分くらいのテーブルを指した。
「うん、そうだね」
笑顔で答えてくれる。
それがまた……
「じゃあ、さっそく始めよっか」
「!、は、はい」
先生が何もない床の上座ろうとした瞬間、僕はチーターのごとく座布団を差し出した。
「あ、ごめんね、ありがと」
またこれがたまらな……
アホな考えをすぐに頭から吹き消して僕も勉強用具を机から持ってきて座った。
「じゃあ、今日は最初だから和也君にまずやってほしいことがあるんだ」
そう言って先生は横に置いた自分の鞄を探り出した。
「ブッ!!!」
僕はあまりのことに吹き出しそうになってしまった。口に何も入ってないけど…
そんな、魅惑なものを見せられたら……
このテーブルはスケルトンになっていて、
先生が体を横に向けた瞬間、、、短いスカートと太ももが僕の視界に飛び込んで……
こんなに近くにくっきりと……
ああ〜、インテリア万歳!スケルトン万歳!!
「和也君?どうかした?」
「い、いえ」
「じゃあ、まずは和也君の実力を知るためにこのミニテストを……」
先生が何か言ってる。
でももう、何も聞こえない。
もう僕の頭には勉強なんて言葉は消え去った。
ヽ(´▽`)ノ"

昨日はあれからさっぱり頭が働かなかった。
先生は今日も来る。
昨日みたいではダメだ!今日はまじめにしっかりやらないと。
家庭教師に来てもらうのいくらのお金が掛かるか僕は知っている。
親が必死になって貯めたお金をそんな蛇足で無駄にするわけにはいかない。
僕だってバイトを通してたけどお金を稼ぐのがどんなに大変か知っている。
一回来てもらうだけでバイトの時給に換算したらいったい何時間働かなきゃならないか。
今日はもう邪な心は捨てた。
変なことを意識したり、考えたりなんか絶対しない。
僕はそう意気込んで臨んだ。

「じゃあ、今日から本格的な受験勉強に入っていくね。がんばってついてきて」
「はい」
昨日と違い、はっきりとした返事。
よし!がんばろ!!
…
……
………
「うん、全問正解!」
「ほんとですか?!」
「うん、ほら、…がんばったね」
「はい」
全問正解。何か不思議な感じがする。
先生の教え方がうまいのか今日やったところはスラスラ頭に入った。
いつもならこんな風にはいかないのに。
この調子で夏休みがんばれば僕でも良い大学に入れるかもしれないぞ。
そんな期待がこみ上げてきた。
……まあ、まだそんな気になるのは早すぎる気がするけど。
「じゃあ、今日はここまでにしよっか」
時計を見るともう9時を回っていた。
もう、こんな時間。
そんな風に思うのも集中していた証拠か。
「和也君、今日は勉強に身が入ってたじゃない」
「え?」
帰り支度を終えた先生が改まってテーブルに手を置いて話し始めた。
「昨日、和也君、私の足や胸ばかり見てたでしょ」
………
……………え?
「知ってるんだから」
顔を近づけて、そそるような目で僕を見つめる。
「ねえ、明日、デートしよっか」
………
…………はい?
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