ハァー
今日のテストも、さっぱりだったなぁ〜
…これじゃあ私、まじでどこの高校にも行けないかも…
私は、川に石ころを投げつけた。
水鏡から波でゆらめく私の顔が映る。
ハァー
それを見て、また深い溜め息をついている。
「どうかしましたか?」
「え?」
突然かけられた声。
振り向くと一人の少年が私のすぐ後ろにが立っていた。
「……あんた、いつからそこにいたの?」
まったく気配を感じなかったんですけど…
「えーと、10分程前からです」
10分程前からって、もしかして私の独り言、聞かれてた?!
/////
「あんたねぇー、人の後ろにつったって何してたのよ?!」
ちょっときつめに言う。
恥ずかしさを超えて怒りがこみ上げてきた。
「あなたが何かお悩みをお抱えのようだったので」
”お、お悩みをお抱えのよう”って……
私、こんな子供にまで……
「…だったら何よ!あんたには関係ないでしょ!!」
「んーー、関係なくはないんです」
「ハァー?!何でよ?!私、あんたのことなんてまったく知らないわよ!」
「あなたが知らなくても僕はあなたのことを知っています」
私のことを知ってる?!
な、何、この子、ま、まさか、す、ストーカー!!
「……どうして?どこかで会ったことあったかしら?」
「いいえ、お会いするのは初めてです」
………
「……なら、どうして私のこと知ってるの?」
「僕は、神様ですから」
………
はっ!!
こ、これって、まさか、私、子供にからかわれてる?!
………
「…わかった、わかった。あんたが神様だってことは
わかったから、もう暗くなってきたからお家に帰りなさい。
お母さんが心配するわよ」
そうよ、こういうときは相手にしていけないのよ。
笑顔で軽くあしらってやるのが一番よ。
「…そうですか。わかりました。では」
うんうん、ちょっと生意気だったけど素直でよろしい。
「じゃあね!気をつけて帰りなさい」
お姉さんが手を振って見送ってあげよう。
そうそう、空を飛んでいけば事故に遭うこともないしね。
「………。
ちょ、ちょっと待ってーー!!!!!」
私は、浮遊した少年の足を無理やりつかんだ。
「な、何です?」
「あ、あ、あ、あ、あ、あんた、
い、い、い、い、い、今、空飛んでない???」
「それがどうかしました?」
「どうかしましたじゃないわよ!!!
あんた、何でそんなことできるのよ!!!!!」
「できますよこれぐらい!僕は神様なんですから」
………
ワンワンワン
川沿いを走る犬が、私の横を駆け抜けていく。
「ねえ、あんた、あの犬を二本足で直立させたり何てことできたりする?」
「できますよ」
そう言って、少年は手のひらを犬の方へかざす。
すると、かざした手のひらから光線のようなもが飛び出した。
「ングァ!!!!犬が、犬がーーーーー」
世にも奇妙なものを見て、思わず奇声を上げてしまう。
その光線が犬に当たった瞬間、犬は手を交互に振りながら
二本足で走り出した。
「あれでいいですか?」
私は、カクカクしながら少年に顔を向けた。
「あ、あ、あ、あ、あんた、ほんとに神様なの?」
声もカクカクしていた。
「そうですよ」
「……あんた暇?」
「え?!まあ、暇といえば暇ですけど」
その瞬間、私は少年の腕を強引に取って、一目散に走った。
「でぇやーーーーーーーーーーーーー」
「ちょ、ちょっと何ですか?!」

………

「ハァハァハァ、いったい何なんですか!?」
「ようこそ我が家へーーー\(^O^)/」
「え?」
「さささ」
私は、少年を家へと部屋へと迎え入れた。
「さささ、そこに座って(^^)」
「な、何ですか?そんな強引に」
「ねえ、聞いて。
私、すんごく困ってるの(; ;)」
「はぁ」
「私のお願い、聞いてくれる?」
「えーと、その内容にもよりますが」
「あのね、私、明日、すんごく大事なテストがあって、もし、もしそれで……シクシクシク」
「……それで?」
「それで、いい点取れなかったら親に勘当されてしまうの!!」
「え!?」
「そうなったら私、寝る所も、食べるものも、着るものも何もかもがなくなって
路頭に迷うことに……そして、そして……シクシクシク」
「そ、そんな!それはいけません!!
願いとは何です?僕に出来ることであれば…」
(  ̄ー ̄)ニヤリ
「明日の…テストの答えがわかれば…わかりさえすれば…」
「なるほど……ですが残念ですが、それは出来ません」
「!!どうして?!私、私、このままだと……」
「いえ、助けてあげたいのは山々なのですが」
「だったらどうして……シクシクシク」
「その、神様の世界でもルールというものがありまして
カンニング幇助は禁止されているのです」
カンニング幇助?
ちっ!何よそれ、まどろっこしいわね!!
でも、この子、もう一押しすれば折れそうね……
こうなったら……
「もし、もし助けてくれたら
私、私、あなたのこと////……」
私は、スカートをはだき、少年に顔を近づけた。
「??何ですか?」
………
少年の顔に何の変化も見られない。
ちっ!何よ!私のお色気100%が通じないなんて。
これだからガキは嫌いよ!!
「……ハァー、もういいわ」
これ以上はあきらめて、机にしぶしぶ向かった。
「勉強ですか?」
「そうよ!見てわからないの!?」
あーーあ、少しでも期待した私がバカだったわ。
明日のテストは数学、英語、理科。
どれもこれも一夜漬けでどうにかなる科目じゃないわ。
特に数学は赤点の可能性大。
現実を思い出したら急に焦燥感に駆られ始めた。
「数学ですか?」
横から覗きこんで声を掛けられる。
「そうよ!見てわからない!?
邪魔しないで」
「そこ、間違ってますよ」
「え?」
「そこは、ここに垂線を引いて二つの三角形にわけて考えるんですよ」
「ああ、なるほど」
………
「あんた、数学わかるの?」
「ええ、もちろん!これくらいは!神様ですから!!
あなたはわからないんですか?」
カチンッ
「わからないから勉強してるんでしょ!!」
少年の無垢な質問に思わずカッとする。
「なるほど!ちなみにこっちも間違ってますよ」
「え?」
「……う、うるさいわね!わざとよ!わざと間違えたの!!」
コンコン
「千鶴ー、開けるわよー」
げっ!お母さんだ!
あわわ、この子どうしよう(((( ;゚д゚)))アワワワワ
見つかったら……
なんかわかんないけど、いろいろやばいかも……
「か、隠れて!!」
「えっ?どこに?」
「どこでもいいから早く隠れなさいよ!!」
カチャ
「千鶴?」
「あ、あは」
「何か話し声が聞こえたけど誰かいたの?」
「え?」
部屋を見渡したが少年の姿はどこにもなかった。
「な、何でもないよ。ただの独り言」
「……あんた明日もテストでしょ。ちゃんと勉強しなさいよ」
「はーい」
バタン
………
「ふーー、助かったーー」
なんだかすごく精神を削られた気がして
机にベタッと顔をはりつけた。
それにしても……
……あいつ、どこに隠れたんだろ?
「もうでてきていいわよ」
「ここにいますよ」
「ん?」
声が聞こえた方へ目を向けた。
すると、机の上においてあった目覚まし時計の陰から
ひょっこり顔を出した。
「ンギャッ!!!!
あ、あ、あ、あんた!!どうしてそんなに小さくなってるのよ!!!!」
「あなたが隠れろと言ったから…」
何よそれ?!何でもあり???
は!待てよ!!………ふふふふふ、これは使えるわね(  ̄ー ̄)ニヤリ
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